今日、ちょろぎを掘らせていただいた。
ちょろぎってよく黒豆に入っている不思議な形をした赤いもの。
私が子供のころ、住んでいた街ではごくごく身近なお惣菜屋さんで黒豆を買うと必ず入っていた。
だけど九州に来てからこれを見たことはまずないな~、久しぶりに見たいな~と思っていたら
今の事業を通してお知り合いになったゆたか農園さんのfacebookの記事に「ちょろぎ収穫しています」と。
「すみません、一度収穫してみたいんですけど」と無理なお願いしたら今日その機会を作ってくださった。
ちょろぎというのはウィキにあるとおり、しそ科であり中国から伝わった根菜の一種という。
掘ってみるとこんな感じ。
それにしても不思議だなぁ。なんでこんな形になっちゃったんだろう。。。その進化がなんだか愛しい。
ちょろぎの葉を引っ張り上げて土を掘り返すと葉の下と土の間に隠れていたさまざまな虫が出てくる。
石井さんは土の持つ(土に住む微生物の)自然な力を生かした農業をされているのである。
だから掘りだしたばかりのちょろぎは水で洗って泥を落としたらそのまま食べることができる。
少しばかり土が残っていても大丈夫だ。
「土に住む微生物の世界を人間の世界に例えると農薬の怖さがわかりやすいと思うんです。」
ふむふむ。
「サリン事件を思い出してください。微生物にとっての農薬はサリンと同じなんです。
農薬のために害虫だけではなく、土を元気にする『いい微生物』がみんな死んでしまいます。」
「昔の人は農薬とか使わなくても野菜を収穫していたことを思えばそんなに不思議なことではないんです。」
抜いて不要になった草の部分は畝のわきに置いておき、
ある程度溜まったら集めて発酵させて土に戻してまたそれを畑に使う。
その土を触らせていただいた。
「微生物たちが作ってくれた土です。」
湿っていてふかふかでサラサラだ。
自然が持つ循環システムというのは完璧なんだなぁ。。。
私たちに土いじり(収穫とは言えません)をさせていただいた後、ハウスを案内してくださった。
(写真が下手ですみません、白く飛んでしまいました)
石井さんはさまざまな西洋野菜の栽培も取り組んでいらっしゃる。
手前にある大きい葉物はアーティーチョークだ。
既に収穫を終えていて食べることのできる実物を見ることは今回できなかったのだけれど。
彼の右側に植わっているのはやはり収穫を終えたいんげん。
ちぎってあぶらむしをぴんと払って食べる。
みずなやみぶなもちぎってその場で頂く。
石井さんにも正直にお話したけれど、私には大量生産している野菜との味の差はわからない。
でも、できた野菜をその場でちぎって味わうことのできることそのものが豊かで贅沢なことだよね。
微生物がはぐくんだ土が様々な野菜をはぐくんでいるハウス。
きれいで豊かでみずみずしい。そして育む力を持っている。なんか一つの「世界」ができている感じ。
それにしても石井さんがその世界をいい方向に保ち続けることに
どれ程の努力と勉強をされているんだろうなぁ。
写真で彼が手にしているにんじんをいただいた。こちらも西洋野菜だそうだ。
安心な土なので皮は向かない。
少しの塩をさっとかけてちゃちゃっとあえてすぐに水で流す。
市販のドレッシングでは塩が強すぎるので
オリーブオイルと少なめの塩とお酢で自分でドレッシングを作ってにんじんと合える。
にんじんの葉もさっと湯がいて刻んで一緒に。
甘い甘いにんじん、おいしくおいしくいただきました。
彼の作っている野菜はミシュランの星がついたレストランにも納められるようになったそうだ。
すごいなぁ~。
でも、この野菜のおいしさは私のようなごくごく普通の人たちがもっともっと知らなくてはいけない。
ごくごく普通の人たちがこういう野菜をどんどん食べることで
自然農法で作られた野菜がもっともっとたくさん出回るようになる。
そうしたらみんなで自然の持つ豊かさを感じることができるようになる。
もっと自然を大切にしようときっと思うようになるに違いない。
土をはぐくむ小さな微生物たちも愛おしくなるだろう。
石井さん、楽しい時間をありがとうございました。
オットともども感謝いたします。